過敏性腸症候群|宝塚市の内科・外科・消化器内科|つだクリニック|阪急山本駅徒歩12分

〒665-0882 兵庫県宝塚市山本南2丁目13番5号 2F
Tel.0797-88-7757
ヘッダー画像

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群|宝塚市の内科・外科・消化器内科|つだクリニック|阪急山本駅徒歩12分

下痢・便秘・腹痛を繰り返す「過敏性腸症候群(IBS)」とは?

こんな症状、心当たりはありませんか?

腹痛の女性
  • 通勤・通学の電車や会議中など、逃げ場のない状況で急激な腹痛や下痢が襲ってくる
  • 便秘と下痢を数日単位で繰り返し、常にお腹の張りや不快感がある
  • 排便すると腹痛が一時的に和らぐが、すぐにまた痛くなる
  • 健康診断や内視鏡検査(大腸カメラ)を受けても「異常なし」と言われた
  • 「また痛くなったらどうしよう」という不安自体がストレスになり、悪循環に陥っている

これらの症状がある方は、過敏性腸症候群である可能性があります。

過敏性腸症候群(IBS)とはどんな病気?

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome: IBS)とは、胃カメラや大腸カメラ、血液検査などを行っても、腸に炎症や癌などの目に見える異常(器質的疾患)が見つからないにも関わらず、腹痛や腹部不快感、便通異常(下痢・便秘)が慢性的に続く病気です。
日本人の約10〜15%(10人に1人以上)に見られる非常に頻度の高い疾患で、決して珍しいものではありません。

発症は女性にやや多く、歳を経るにつれてやや有病率は低下する傾向にあります。
生命にかかわる病気ではありませんが、日常の QOL(生活の質)を著しく低下させてしまうのが特徴です。

IBSの発症メカニズム

IBSの根本的な原因は単一ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

  1. 脳腸相関の乱れ
    腸と脳は神経ネットワーク(自律神経など)を介して常に情報交換を行っています。これを「脳腸相関」と呼びます。 ストレスや不安を感じると、脳から腸へシグナルが送られ、腸の運動が過剰になったり(激しい収縮運動による下痢・腹痛)、逆に動きが鈍くなったり(便秘)し、IBSを引き起こす原因となり得ます。
  2. 腸の知覚過敏
    IBSの患者さんでは、腸の神経が通常よりも過敏になっている事があります。このため、健康な人であれば気にならない程度の便やガス(おなら)の移動、少しの腸の収縮でも、強い「痛み」や「張り感」として脳に伝わってしまいます。
  3. 感染性胃腸炎の既往(感染後IBS)
    ウイルスや細菌などによる胃腸炎にかかった後、炎症自体は治まったにも関わらずIBSを発症することがあります。腸の微小な粘膜変化や腸内細菌叢(フローラ)のバランス崩れが原因と考えられています。
  4. 腸管粘膜の透過性亢進と粘膜微小炎症
    腸管粘膜の透過性亢進はリーキーガットとも呼ばれており、腸管のバリア機能が低下した状態を指します。このような状態になってしまうと、人体にとって害をなす成分が侵入し、その結果として腸管粘膜に微小な炎症が引き起こされ、これがIBSの引き金になる事があります。

このように複数の要因が複雑に絡み合い、しかもその内容が患者様ごとに異なります。この為、IBSに良いとされる対処をしても簡単に治療出来ない事が多々あります。

過敏性腸症候群の4つの病型

症状の現れ方によって、大きく4つのタイプに分類されます。

タイプ 症状の特徴 補足事項
下痢型(IBS-D) 突然の激しい腹痛とともに水様便・泥状便が出る。排便すると痛みが和らぐことが多い。 若い男性に比較的多く、緊張やプレッシャーで悪化しやすい。
便秘型(IBS-C) 腹痛やお腹の張りを伴い、便がコロコロとして硬くなり排便が困難になる。 女性に比較的多い。残便感が残りやすい。
交互型(IBS-M) 数日おきに「下痢」と「便秘」を交互に繰り返す。 腸の動きのコントロールが不安定な状態。
分類不能型(IBS-U) 上記3つには当てはまらないが、お腹の張り(膨満感)やガスが過剰に溜まる、お腹が鳴るなどの症状が続く。 ストレスや体質が深く関係する。

IBSの一般的な診断基準と必要な検査

IBSの診断には、世界的に用いられている「Rome IV基準」と呼ばれるものが参考にされます。

Rome IV基準

最近3ヶ月間のうち、平均して週に1回以上腹痛が繰り返し起こり、以下の3つの項目のうち2つ以上に該当する場合。

  1. 排便によって腹痛が軽減、または変化する
  2. 発症とともに排便の頻度(回数)が変わる(増える・減る)
  3. 発症とともに便の形状(硬さや見た目)が変わる(柔らかくなる・硬くなる)

他の重大な病気を除外する「鑑別診断」が重要
IBSと診断する上で最も重要なプロセスは、「症状が似ている他の病気ではないことを確認すること」です。

特に以下の「警告症状や危険因子」がある場合は、大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病などの可能性があるため、血液検査や大腸内視鏡検査(大腸カメラ)による精密検査が推奨されます。

警告症状/危険因子

  • 血便が出る(便に血が混じる)
  • 理由のない急激な体重減少
  • 腹部腫瘤等の異常所見
  • 発熱や関節痛を伴う
  • 50歳以上での発症
  • 大腸がんや炎症性腸疾患の家族歴がある

治療について

IBSの治療は、前述の通り複数の要因が複雑に絡み合う為、各患者様に応じた対処が必要となります。また、風邪のように薬だけで症状を寛解させる事は難しいため、自身の状態/体質を少しづつ把握して頂き、これと上手に付き合う事が大切です。症状をゼロにすることだけを目標にするのではなく、「日常に支障がない状態を作り、快適に過ごせること」を目指して段階的に進めます。

生活習慣・食事療法の改善

  • 規則正しい生活:自律神経を整えるため、十分な睡眠と決まった時間の食事を心がけます。
  • 刺激物の制限:辛い食べ物、高脂質食、カフェイン、アルコール、冷たいものの過剰摂取などを控えます。
  • 低FODMAP(フォドマップ)食の検討:腸内で発酵しやすく、ガスや下痢を引き起こしやすい糖質(発酵性小糖類・単糖類など)を控える食事法が有効な場合があります。

以下のイラストにて一例を示します。

低FODMAP&高いFODMAP食一覧

薬物療法

症状のタイプに合わせて、適切なお薬を組み合わせて処方します。

  • 消化管運動機能調節薬:腸の動きを正常なリズムに整える薬剤。
  • 高分子重合体(ポリカルボフィルカルシウム):便の中の水分量を調整し、下痢の場合は水分を吸い取り、便秘の場合は便を柔らかくして両方に効果を発揮する薬剤。
  • 下痢型への薬(セロトニン5-HT3受容体拮抗薬):腸の過剰な運動と痛みの神経伝達を抑える薬剤。
  • 便秘型への薬(粘膜上皮機能変容薬など):腸管内への水分分泌を促し、自然な排便を助けます。
  • 整腸剤(乳酸菌製剤など):腸内環境を整えることでIBSの症状緩和が期待できる薬剤。
  • 抗アレルギー薬:食物アレルギーを持つ場合、これを抑える事でIBSの症状緩和が期待できる。
  • 漢方薬・抗不安薬:精神的なストレスや緊張が強く影響している場合など支持的に用いられます。

その他

  • 心理療法
    ストレス管理のためのカウンセリングや認知行動療法などが検討されることがあります。
  • ペパーミントオイル
    腸管の緊張をほぐすことによりIBSの症状緩和が期待できる。

最後に

腹痛や下痢が続くと、『また途中で痛くなったらどうしよう』という不安から外出が怖くなり、それがさらにストレスとなって症状を悪化させるという負のループに陥りがちです。
過敏性腸症候群は、決して『気の持ちよう』や『体質だから』、『ストレスに弱いから』と我慢する病気ではありません。正しい診断を受け、ご自身のタイプに合ったお薬や生活改善を行うことで、症状は十分にコントロール可能です。お一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。