インフルエンザ|宝塚市の内科・外科・消化器内科|つだクリニック|阪急山本駅徒歩12分

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インフルエンザ

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概要

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染することにより発症する急性の呼吸器感染症です。寒い季節に流行し、1~3日間ほどの潜伏期間の後に、突然の発熱、咳嗽、咽頭痛、鼻汁などの呼吸器症状が出現し、しばしば頭痛、筋肉痛、関節痛、激しい倦怠感などの全身症状も現れるのが特徴です。多くは、発熱やその他の症状から1週間以内に回復しますが、稀に重症化や死亡する例もあります。かぜ症候群とは異なり感染力が強く、急激に重度の全身症状が出現することが特徴です。
検査は鼻の奥を綿棒で拭い迅速診断することが一般的ですが、近年では咽頭内視鏡にて苦痛を緩和して検査することも可能になってきています。
治療薬は複数存在し、その効果は症状を緩和したり半日から1日ほど症状が治まるのを早くします。
季節性インフルエンザはいったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がります。二次感染、合併症の予防のためにも、予防接種や、発症時にできるだけ早く受診することが大切です。

インフルエンザウイルスについて

インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型、D型の4種類があり、このうちA型とB型のウイルスが季節的な流行を引き起こします。
C型は検出頻度が低く、一般的に症状が軽度であることから公衆衛生上の影響はほとんどありません。D型は、主に牛に感染し、人に感染して病気を引き起こすことは知られていません。
感染は主に感染者の咳やくしゃみから発生する小さな飛沫を介して飛沫感染や接触感染として伝播します。

症状

咳や咽頭痛などの呼吸器症状を伴い、頭痛、発熱、関節痛、筋肉痛などの全身症状の急激な出現が特徴的です。熱は38度以上の高熱となることが多く、一般的に2、3日で改善します。

合併症

高齢者や心疾患、糖尿病、免疫不全などの慢性疾患を伴う患者さんの場合、合併症を起こす事もあります。代表的なものは肺炎であり、インフルエンザウイルス肺炎や二次性細菌性肺炎、もしくはインフルエンザと細菌の混合性肺炎となる事もあります。
その他には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や慢性気管支炎、喘息などの慢性の肺疾患をお持ちの患者様で、その状態が悪化する場合もあります。
肺以外の合併症としてはReye症候群と呼ばれる病気が有名です。

Reye症候群

ウイルス感染症に続発する肝障害を伴う急性脳症を指します。インフルエンザウイルスやヘルペスウイルス(主に水痘帯状疱疹)に感染した後に発症します。多くはこれらのウイルスに感染した後に、解熱鎮痛薬の一つであるアスピリンを服用した子供に生じる事が知られています。

検査

従来法

一般的にはインフルエンザウイルスの抗原を迅速で見つけるキットを用います。このキットでは鼻腔拭い液を検体として用います。つまり、鼻の奥に綿棒を突っ込みぐりぐりと捻って粘液を採取します。これにはそれなりの苦痛が伴います。また、ウイルス抗原を判定する検査であるため、検査で陽性となる為には体内に一定のウイルス量が出現している必要があります。このため、症状の出始めの時期では偽陰性、本来は罹患しているのに検査では陰性となってしまう可能性があり、一般的には発熱から12時間〜24時間程度は経過していないと検査の精度が下がるとされています。また、後述するインフルエンザ治療薬に関しては、48時間以内での治療開始が推奨されており、従来の検査では、その判定タイミングは限られています。

nodoca

nodoca

上記に対して、発熱早期に診断性能が高い検査方法が開発されています。それがnodocaです。『nodoca』は2022年に厚生労働省から新医療機器として正式に認可を受けた検査機器で、AIを搭載した咽頭内視鏡システムを用いた医療機器です。この機器では、『発熱早期に苦痛が少ない方法でインフルエンザを迅速診断する事』が可能です。
nodocaは従来のウイルス量を判定する検査とは異なり、患者様の咽頭(喉の奥)の画像を撮影し、これに問診と医師の咽頭画像所見を含めてAIに解析をさせてインフルエンザ感染の有無を判定します。AIはこれまでに蓄積された50万枚以上に及ぶ咽頭データを元に、問診と医師の画像所見を照らし合わせてインフルエンザの診断を行います。この診断手法を取ることで、nodocaは従来の方法とは異なる特徴を有します。

nodocaの特徴

1.判定までの時間が短縮

患者様から問診を聞き取り、その後に咽頭の画像を数秒で撮影します。撮影された画像を医師が確認し、その場で所見を入力した後に最終判定を開始します。判定はAIが行いますが、数秒~数十秒で判定が可能です。一連にかかる時間は従来の検査に比べてかなり早いため、特に流行時期において待ち時間短縮などの恩恵が期待されます。

2.苦痛が少ない

nodocaは従来の検査方法とは異なり、喉の奥を撮影する必要があります。ただし、喉の奥とは言っても、実際には機械をくわえる程度にしか口の中に入れません。また、撮影にかかる時間も数秒であり、お子様でも苦痛を極力抑えて撮影することが可能となります。

3.感染初期の感度が高い

前述のように、従来の迅速検査ではウイルス量を測定する観点から、ウイルス量の少ない感染初期の検査精度が低いという欠点がります。しかし、nodocaはその逆で、感染初期において検査精度が高く、24時間以降の検査精度は落ちてしまうという特徴があります。

感染初期の感度が高い

従来法とnodocaの組み合わせ

上記の特徴から、nodocaは従来の迅速検査と差別化して用いる事ができます。つまり、発熱して間もない時期であればnodocaを用いて苦痛少なく迅速に診断し、24時間以降であれば従来法で診断を行います。これにより、検査可能なタイミングが広がり、早期から投薬が可能となります。nodocaはまだまだ新しい検査機器で導入されている施設も少ないですが、早期から投薬出来るという恩恵は大きいと考え当院では採用に至りました。ちなみに注意点としては、nodocaは保険上、『6歳以上』、『48時間以内』といった制限も存在します。こういった点も含めて、nodocaは従来検査に取って代わるものではなく、うまく併用することでインフルエンザの診断治療に大きく貢献できるものと考えられます。

治療

インフルエンザウイルスの治療に際しては、単に症状改善を目的とする対症療法に加えて、ウイルスそのものを攻撃する抗ウイルス薬があります。その種類も徐々に豊富となり経口、吸入、点滴薬と多彩です。以下に代表的な薬剤を紹介します。

タミフル/オセルタミビル

古くから使用されており、使用実績が高い薬剤です。
用法は5日間内服が必要ですが、ドライシロップなどの形状もあり、小児にも使用することができます。
成人の場合、症状が軽減するまでの時間を1日程度短縮させる事が可能で、特に小児の場合は、その軽減効果は高いとされます。また、肺炎などの合併症の抑制にも効果があります。
副作用としては、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの胃腸症状、発疹などが報告されていますが、異常行動などの精神障害が低確率で生じることが知られています。
長く使用されてきた薬剤なので、ジェネリック薬もあり、他の薬よりも安価である事も特徴です。

イナビル

イナビルは、1回投与で済む「吸入タイプ」の抗インフルエンザ治療薬です。
タミフルと比較してより効果が高いといった報告もあります。
また、タミフル同様に小児でより高い効果が得られたとの報告もあります。
ただし、肺炎や気管支喘息合併例では使用すべきでない点には注意が必要です。

リレンザ

最も早く日本で発売された「吸入タイプ」の治療薬です。
1日2回、5日間吸入することで効果を発揮します。
他の薬剤同様に罹病期間の短縮、症状の軽快が証明されています。
特に、B型インフルエンザにはリレンザの方が効果が高いという報告もあります。
同じ吸入薬であるイナビルと比較すると、1日2回5日間の吸入はわずらわしいですが、比較的安価な点も魅力的な薬です。
ただし、吸入薬であるがゆえ、気管支喘息や慢性肺炎などがある人はイナビル同様に使用すべきでないので注意が必要です。

ラピアクタ

抗インフルエンザ薬で唯一の点滴薬です。特に吸入や飲み薬も服用できないという方にとって非常に有用です。
罹病期間の短縮と日常生活復帰までの時間を短縮させる効果があるとされ、1回投与ですむ点も有用です。

ゾフルーザ

他の抗インフルエンザ薬とは少し異なる機序を持つ経口薬剤で、1回投与で終了するのが特徴です。
タミフルと比較してやや効果が高いといった報告があり、副作用も「下痢、吐き気、嘔吐」などの消化器症状が中心であり、精神障害の副作用があまりないのも特徴です。
良い点が多い薬剤ですが、特に小児において耐性を持つインフルエンザが存在したり、タミフルよりも薬価が高いのもデメリットです。

上記の薬剤は基本的には発症から48時間以内に投与することで罹患期間(症状の出ている期間)の短縮と症状自体の軽快が得られます。逆に48時間を超えて投薬した際の効果は立証されていませんので、時間内にいずれかの投薬を開始することがインフルエンザ治療にとっては重要となります。この点において、従来法だけだと薬剤投与のタイミングがかなり限定的ですので、当院では発熱初期から検査可能とするためnodocaも利用して診断できる機会を増やしています。
インフルエンザ流行の時期に際して、発熱症状などでお困りの方は当院にご相談いただければ幸いです。