皆様こんにちは。
つだクリニック院長の津田 匠です。
ホームページにブログ機能を備え付けはしましたが、準備から開業までが想定以上に多忙で記事を書く時間が取れずにいました。開業から3週間が経過し、やっとスタッフも含めて通常診療にも少しづつ余裕が出てきましたので、クリニックのブログも少しづつ更新できればと思いキーボードを叩いています。
当院は地域に根ざした町の診療所として宝塚山本の地に開設いたしました。標榜は一般内科、一般外科、消化器内科としており、ある程度幅広く診療させていただきます。その中で、必要に応じては専門機関に紹介も行い、どこに受診してよいか判断が難しい方にとっても橋渡しができればと考えております。
そんな当院ですが、皆様に知っていただく機会となる内覧会は1日しか行えず、フラフラと動く台風にも悩まされました。ですが、蓋を開けてみると天気にも恵まれ、スタッフや業者さんの助けもあり、お陰様で100人以上の方に内覧していただくことができました。開院から3週間が経過しましたが、診察券の発行枚数も100枚を超える事ができ、大変嬉しく思いつつも、改めて来院される方に満足して帰っていただけるようにと気持ちを引き締めております。
『nodoca』とは?
さて、今回のブログでは当院で採用したある検査機器を紹介しようと思います。
それは『nodoca』という名の検査機器です。
こちらは2022年に厚生労働省から新医療機器として正式に認可を受けた検査機器で、AIを搭載した咽頭内視鏡システムを用いた医療機器です。この機器で何が出来るかと申しますと、
『発熱早期に苦痛が少ない方法でインフルエンザを迅速診断する事』
です。
インフルエンザはコロナ禍で一時的に減少したものの2023年度には再流行し、今後も冬期になると流行が懸念されます。高熱や関節痛など強い症状が出るものの、新型コロナウイルスとは異なり、安価で高い効能を持つ抗ウイルス薬があるためインフルエンザ感染症と診断する意味合いは大きいと考えられます。インフルエンザの診断については、従来より鼻腔内の粘液を拭い検体を採取し、迅速に判定することが可能となっています。しかしながら、経験のある方ならご存じだと思いますが、鼻に綿棒を突っ込まれるのはかなり苦痛を伴います…。また、この迅速検査ではウイルスの有無を判定しているため、体内のウイルス量が少ないと偽陰性、つまり陽性なのに検査が反応しないといった事が起こり得ます。このため、一般的に迅速検査を行うタイミングとしては発熱してから12~24時間程度経過した後が至適とされ、医療機関によっては検査のタイミングのために自宅に少し待機するよう指示されることもあります。
この従来の診断方法に新たに加わったのが『nodoca』です。
『nodoca』の特徴
nodocaは従来のウイルス量を判定する検査とは異なり、患者様の咽頭(喉の奥)の画像を撮影し、これに問診と医師の咽頭画像所見を含めてAIに解析をさせてインフルエンザ感染の有無を判定します。AIはこれまでに蓄積された50万枚以上に及ぶ咽頭データを元に、問診と医師の画像所見を照らし合わせてインフルエンザの診断を行います。この診断手法を取ることで、nodocaは従来の方法とは異なる特徴を有します。
判定までの時間が短縮
患者様から問診を聞き取り、その後に咽頭の画像を数秒で撮影します。撮影された画像を医師が確認し、その場で所見を入力した後に最終判定を開始します。判定はAIが行いますが、数秒~数十秒で判定が可能です。一連にかかる時間は従来の検査に比べてかなり早いため、特に流行時期において待ち時間短縮などの恩恵が期待されます。
苦痛が少ない
nodocaは従来の検査方法とは異なり、喉の奥を撮影する必要があります。ただし、喉の奥とは言っても、実際には機械をくわえる程度にしか口の中に入れません。また、撮影にかかる時間も数秒であり、お子様でも苦痛を極力抑えて撮影することが可能となります。
感染初期の感度が高い
前述のように、従来の迅速検査ではウイルス量を測定する観点から、ウイルス量の少ない感染初期の検査精度が低いという欠点がります。しかし、nodocaはその逆で、感染初期において検査精度が高く、24時間以降の検査精度は落ちてしまうという特徴があります。
nodocaの使いどころ
これらの特徴から、nodocaは従来の迅速検査と差別化して用いる事ができます。使いどころとしては感染初期であり、発熱して間もない時間に苦痛の少ない検査で迅速に診断し、投薬が出来るという恩恵は大きいと考え当院では採用に至りました。また注意点としては、nodocaは保険上、『6歳以上』、『48時間以内』といった制限も存在します。こういった点も含めて、nodocaは従来検査に取って代わるものではなく、うまく併用することでインフルエンザの診断治療に大きく貢献できるものと考えます。
厳しい残暑が続きますが、今後急に冷え込む事も考えられます。気候が異例な動きをしていますので、体調管理には十分気をつけて下さい。